2008年4月24日 (木)

小川宣之の作品に思う

ファエンツァ国際陶芸展といえばイタリア、ファエンツァ国際陶磁器美術館を舞台に、二年に一度('86までは毎年)開催される世界的なコンペティションであり、現代陶芸を志すアーティストにとっては一つの世界基準といっても過言ではない。
最高賞を受賞したアーティストはPremioと呼ばれる栄誉を得ると同時に、このコンペの歴史に半永久的にその名を刻むことになる。
'72年の林康夫氏、'85年の深見陶治氏ともにPremioとして現在も現代陶芸の旗手として世界的に活躍しているのは周知の事実であろう。
このコンペで'03年ラヴェンナ賞、'05年金賞と二大会連続で入賞を果たした日本人がいる。小川宣之その人だ。
'07年にレギュレーションが改定され出品者に年齢制限がかかり、Premioもしくは三大会連続入賞の夢は叶わなかったが、私の知る彼の作品は数を重ねるごとに進化しながら、しかも常に安定した美しさを保ち続けるのである。

Uytidath 小川宣之「Silence」


'03年の「Silence」はそれまで永劫の時間を「静」として経過してきた物体が今まさに「静」から「動」へ移行しようとする寸前の一瞬を切り取った作品である。
そこには時間という概念の基に、「動」は一瞬一瞬の切り取られた「静」の連続であるという禅の思想が存在し、作品と対峙するとき、東洋の神秘とも言える禅の深い瞑想にいざなわれることに気付くのである。

Rjlz1i8p 小川宣之「Void」


'05年の「Void」は安定した空間の裂けめから突如出現した物体を象徴的に表現し、「Silence」の持つ時間の概念に対して空間の概念をその作品の中に取り込むことに挑戦している。
さらに彼はこの作品において出現した白い物体を、自身のこれ以降に制作する作品の手法として見事にアナウンスしてのけているのである。

Ikul6fwu 小川宣之「時の記憶」


'08年の「時の記憶」で再び思考的な時間の概念に回帰し、なおもリンクしていく一連の作品群は、全てその根底に東洋、特に日本において培われた禅の思想を孕みながらあたかも禅問答のように終わりなき輪廻を繰り返していくのだろうか。
彼の今後の仕事からますます目がはなせない。

小川宣之 略歴
 
1963 京都市東山区泉涌寺に生まれる
1983 京都府立陶工訓練校修了
1984 京都市立工業試験所修了
1989 京展・全関西美術展初入選
1993 朝日現代クラフト展入選
1994 京都工芸ビエンナーレ入選
1996 草月花の器ビエンナーレ展入選
   益子陶芸展・京都美術工芸展入選
1997 嵯峨御流花の陶展入選
2000 京焼・清水焼展通商産業大臣賞
2002 京焼・清水焼展経済産業大臣賞
2003 ファエンツァ国際陶芸展(イタリア) 
    銀のプレート賞/ラヴェンナ賞
   〜天に花 地に土 その空間〜個展 
2005 ファエンツァ国際陶芸展(イタリア) 
    金賞/ロータリークラブ会長賞
   「Mostra Personale di Ceramica」個展
2006 フランス国立セーブル陶磁器美術館(フランス)
    日本陶芸の伝統と前衛展選抜出品
2008 小川宣之展「よそいきの器」個展
現在 京都工芸美術作家協会所属

2008年4月16日 (水)

初めまして・・・

これから気になる作品や、作家のお話しなど自分なりに、徒然に感じたことなどを書き綴っていきたいと思います。
コメントなどいただけたらうれしいです。
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